今回は、化学プラントのリスクアセスメントを担当するなら勉強しておきたい事故事例集サイトを5つご紹介いたします。
失敗知識データベース
NPO法人失敗学会が運営するデータベースです。最新の事例は未掲載ですが、古い事故・大きな事故について
- 事例概要
- 原因
- 対策
- シナリオ
- 情報源
- 死者数、負傷者数、物的被害、被害金額、全経済損失
などの項目建てで詳細に解説されています。特に「失敗百選」に入っている著名な事故はPDFファイル10ページ程度で解説資料があります。データ作成者が大学の先生や化学メーカーOBなのも信頼できるポイントです。
PSB(Process Safety Beacon)
米国AIChE(American Institute of Chemical Engineers)のCCPS(Center for Chemical Process Safety)が発行しているPSB(Process Safety Beacon)を、化学工学会のSCE・Net(シニア・ケミカル・エンジニアズ・ネットワーク)の方々が和訳したものです。
- 何が起こったか
- なぜ起こったのか
- 知っていますか
- あなたにできること
の4項目にまとめられています。意外なところに潜む危険!のような語り口が多い気がします。PSBはもちろん、和訳・編集委員の方々の談話をまとめた安全談話室も参考になります。シニアの先輩方に学びましょう^^
世界の貯蔵タンク事故情報
個人の方(おそらく化学系エンジニアの方?)が運営されているブログです。海外のタンク事故について、複数の情報源から写真付きで情報を収集されていて、読みやすくまとめられています。「所感」や「後記」など著者の方のお人柄が見える項目も大変参考になります。個人ブログながら、多くのエンジニアが役立てているのではないでしょうか。
さんぽのひろば 化学災害ニュース
産総研が運営するサイト「さんぽ(産業保安)のひろば」内に化学災害ニュースというページがあります。工場での事故には限定せず、最新の化学災害を取り扱っています。月1回更新の「注目の化学災害ニュース」では身近な災害事例(あさりの酒蒸しでヒヤリハット、など)を紹介しており、専門家でなくても興味が持てる内容になっています。
職場のあんぜんサイト
厚生労働省の労働災害データベースですが、事故の型を「火災」と指定して検索すれば火災・爆発事故に絞り込むことができます。少し見づらいですが、
- 発生状況
- 原因
- 対策
が簡潔に記載されています。1年に1-2回程度更新されているようですね。
まとめ
公的なものから個人運営のものまで、また過去の重大事例を扱うものから最新ニュースまで、事故事例集サイトを5つ紹介いたしました。
事故事例を学ぶことで、危険源を察知する能力が向上し、より質の高いリスクアセスメントを実施できるようになると思っています。読んでいて辛くなるような事例も多々ありますが、命や環境を守るために頑張って勉強したいですね。
ご安全に!
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